ゆけ!クレイジーライダー! - ロードバイクロングライドレポ -

某IT企業を辞め、ロードバイクに乗ることにした。なぜかって?…うずいたからだ!このブログはその序章をリアルタイムで発信するためのブログである。

【十二日目】 福井県から岐阜県に向かうタクシーの中で - ロードバイクロングライド十六日間の旅(思い出に残った人編)

この日は京都府舞鶴市から岐阜県岐阜市を目指すライドだった。

天気予報は午前は晴れ、午後から雨が降るという予報。

 

そして次の日の午前中、岐阜の友達を会う約束をしていた。

絶対にその日中に岐阜市に到着しなければならないミッション。

 

午前飛ばして午後は雨の中頑張ろうという意気込みで、朝出発した。

 

京都の舞鶴から福井に入るのはたやすい。日本海海岸沿いの平坦な国道27号(丹後街道)を進むだけでいい。朝は通勤のためか交通量が比較的多く、路肩も狭いが、坂が全くないので体力を奪われなくて済む。そして難なく福井県高浜町に入る。

 

右には牧山、妙見山飯盛山と山々が連なる。飯盛山?待てよ、どっかで聞いたことある。そういえば福島の白虎隊の場所だ!小学校の時に福島に合宿訓練で行ったことがある場所だった。飯盛山って全国にあるのかな?

 

と、山のことは置いておいて、飯盛山を過ぎたあたりで小浜市に入る。そのあたりから雨がぽつぽつと降りだした。

 

f:id:coffeeputer:20171008065601j:plain

 

おい・・・まだ午前中だぞ・・・降るの早すぎやしないか・・・

 

それから急ごうとするも、風もだんだん強くなってきて思うように進まない。全力でこいでも時速10km・・・けど、進まなかろうが今日どうしても岐阜に到着せにゃならんのだ!

 

気持ちはある。

 

強風と雨の中、まずは高島市あたりを目指すため、国道27号から国道303号(若狭街道)に入る。入ったところにちょうどコンビニがあり、店員さんに滋賀県高島市あたりまでの道について聞くと、

 

「峠はあるけどそんな急な坂はないよ」

 

と教えてくれた。坂が急じゃないのはほっとしたけど、この強風で、雨だしね。。それで峠はかなりきつい。店を出ようとしたとき、他の店員さんがその教えてくれた店員さんにぼそっと言っているのが聞こえてしまった。

 

「ねぇねぇ、高島市までの道って結構急な坂あったはずだよー、ぼそぼそ・・・」

 

・・・お、おいーーー!

 

まあちゃんと調べてない自分が悪いといわれたらそれまでなんだけど、雨風&峠の急な坂はさすがにだめだろう。いんや!それでもいかなきゃ!

 

コンビニを出て、強風でこげるはずもないので、ロードバイクを引きながら歩き始めた。雨風が弱まった隙に乗ってこぎ、強まったら下りて歩き、その繰り返し。そして猛烈な雨風になったときに、どうしようもなくなってバス停の小屋で雨宿りすることにした。

 

この旅で一番きつい雨風だった。

 

1時間経っても止む気配がなかった。このまま歩いてとりあえずは高島に向かうのも一つ。しかしそれだと高島どまりになって岐阜市に行けなくなってしまう。

 

最優先は岐阜にいる友達と会うことだったので、初めて輪行という手段をとることにした。ちょっと悔しい思いがしたけど。。

 

タクシーがくるまで30分くらい待った。その間も雨風は衰えず。

ようやくタクシーが到着し、乗り込んだ。

 

タクシーのお父さんといろいろ話した。

 

"どこまで行くの?" "どこから来たの?" "自転車壊れたの?"

"今の時代はスマホがあるから自転車の旅も便利になったもんだ。昔は地図片手にもって旅をしたもんだ"

 

雨風が弱まるところまでとりあえず行ってほしいと伝えると、

 

"お金がもったいないなー。がんばっていかにゃ"

 

と言われた。

 

お父さんから、

 

「贅沢で、便利で、楽な旅だ」

 

とはっきりと言われた気がした。

 

それまで長い距離を走っていることだけに満足していた自分が、ものすごく恥ずかしく思えた。

 

 

森の中をずっと走った。

 

 

たまに晴れたりしたが、土砂降りと強風が続いた。

途中、野猿が道を横切るシーンもあった。

 

タクシーの中で、ここロードバイクで走ったら楽しそうだな、ここの道はきつそうだな、と、そんなことを思いながら景色を眺めていた。

 

お父さんからも、外からも、走るべきだろうよと言われているようだった。

それが岐阜市の友達に会うのが目的だったとしても。

 

 

しばらく走っていると、長浜市に入ったことを看板で確認できた。またしばらくすると、今度は米原市の看板が目に入った。あれ、ひょっとすると長浜市通り過ぎてるんじゃないかと心配になり、お父さんに、

 

長浜市、過ぎてませんか?」

 

と確認すると、

 

「会社には道に迷ったとかなんとか言っとく。自分はそんなどこそこの会社みたいにきっちり時間管理してないから。サービスサービス!これも何かの縁だよ。関ヶ原合戦地のところまででいいか?」

 

と笑って関ヶ原町まで連れていってくれた。後でわかったことだが、関ケ原町の登りが続くところまで連れて行ってくれていた。

 

厳しさと優しさ、同時にもらったようだった。

 

到着し、お父さんに深くお礼を言い、別れた。

 

話を聞いてくれて、話をしてくれて、本当にありがとうございました。

 

 

タクシーから降りた関ケ原町も土砂降りで、そこから岐阜市市内のホテルまで土砂降りが続いた。

 

しかし風はなく、穏やかな気持ちで走っていた。